夏休み開始にあたって ~学長メッセージ~

更新日: 2021年08月05日

2021年8月5日

在校生の皆様へ

 

夏休み開始にあたって

 

 緊急事態宣言の対象地域が8月2日から、東京と沖縄に、埼玉、千葉、神奈川の首都圏の3県と大阪が加わり、6都府県に拡大されました。そうした中での夏休みとなります。新型コロナウイルス感染症の流行は、感染力の強い変異ウイルス「デルタ株」の登場で、異なる局面に入ったと言われています。今まで皆様の努力のおかげをもちまして本学からは感染者が出ていません。引き続き感染防止対策をよろしくお願い致します。

 さて、感染症の特徴量の一つは、再生産数Rです。Rは典型的な感染者1人から平均何人の新規感染者が生まれると予想されるかを表す数値です。これは、数学者のクラウス・ディーツが提唱したもので、COVID-19ウイルスの場合、何も対策をしなければRは2~3と推測されていました。この場合、ワクチンを接種するなどして、約70%(3人中2人で66%)の人に免疫ができ、その人達への感染リスクが0になれば、Rが1以下となり終息すると考えられます。世界的にワクチンを70%以上の人に接種しようとした根拠だと思います。しかし、残念なことに、そして心配されていたように終息が間に合わず、Rの値が大きな変異ウイルスが出現してしまいました。米疾病対策センターのワレンスキー所長は、デルタ株のRは8~9の恐れがあるとの見解を発表しました。このことは、ワクチンのみで終息させようと考えると、9人中8人にワクチンを接種(約90%)する必要があります。それもワクチンが、100%効果があると仮定した場合の話です。デルタ株に対してはワクチンの効果が下がることも考慮すると、何か別の対策が必要ということが見えてきます。

 よく知られているように(少なくとも感染症の専門家の間では)、Rは4つの要因の「積」で決まると考えられます。感染力の①持続時間、感染力がある時期に感染を広げる②機会、その機会が③伝搬に至る確率、集団の平均④感受性の4要因です(「感染の法則」アダム・クチャルスキー著より)。例えば、ワクチン接種は④を下げます。マスク着用は③を下げます。PCRで早期に感染者を見つけ隔離することは①を下げます。外出を減らすことは②を下げます。Rの値を1以下にするには、この4要素を組み合わせて対処することがますます重要になってきたと考えています。ぜひ一緒に努力していきたいと思います。

 作家のアレクサンドル・デュマは、著書「モンテ・クリスト伯」のなかで、「待て、そして希望せよ!」といっています。COVID-19が終息することを希望し、もう少し待ちましょう。感染防止対策をしっかり行いながら。

 

                                学長 小越澄雄

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