年頭のご挨拶

更新日: 2021年01月01日

公立諏訪東京理科大学 学長 小越 澄雄

 

皆様、明けましておめでとうございます。
昨年からの新型コロナウイルス感染症の流行が終息していないことを考えますと、心から「おめでとうございます」と言えないのが悲しいと思っています。
一方、このパンデミックはいろいろなことを我々に気づかせてくれました。
その一つが、連帯して立ち向かうことにより、このパンデミックを克服できそうだということだと思います。
架空のパンデミックを題材に書かれた小説「ペスト」の中で、著者のノーベル文学賞作家 カミュは、何の罪もない人々がペストに罹患し亡くなっていくという不条理と、それに立ち向かう人々をえがきました。「不条理」の絶望に立脚した人間が、個々の立場を超えて共同の理想と希望のためにいかに力強く闘いうるかを語り、闘った人々を共同社会の連帯性に目覚めた人々としてえがいたのだと言われています。
今を見ますと、多くの医療関係者が「ペスト」の主人公、医者のリウーのように連帯して今回のパンデミックに立ち向かっています。その成果が、治療法の共有による死亡率の低下であり、遺伝子情報の共有などによる迅速なワクチン開発に現れていると思います。
今、我々が直面している課題でも、不条理な事柄が多数見受けられます。温暖化ガスを過剰に排出したわけではない普通に暮らしていた人々が、突如大水害に見舞われる地球温暖化問題、真面目に働いていても広がっていく格差の問題、生まれてきた国・地域が異なるというだけで生じる小児期の栄養不足とその生涯にわたる悪影響の問題(食糧危機)など。これらは、理想の社会をかかげ、連帯して対処していかなければ解決できないと思っています。
今年こそは、我々を含む、いろいろな立場・いろいろな考えの人が、連帯してコロナをはじめとするこうした不条理な課題に取り組み、克服できることを願っています。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。