公立諏訪東京理科大学の学費の考え方について

更新日: 2020年09月24日

学生の皆さん

保護者、学費ご負担者の皆様

 

公立諏訪東京理科大学の学費の考え方について

 

本学では、新型コロナウイルス感染症対策として、前期授業の多くをオンラインにより実施しています。また、後期についてもすでにお知らせしていますが、「オンライン授業を基本とした上で、感染防止対策の徹底を前提に、学科が対面での授業実施が必要と考える一部科目についてのみ対面授業を実施する」こととしています。また、図書館やコンピュータ教室等の大学施設の利用についても感染拡大防止の観点から一定の制限をせざるをえない状況です。これは本学だけではなく、世界中の大学が直面している問題です。ビフォーコロナ時代のような全授業が対面で実施されるような状況にはなりえないと考えています。なお、後期授業についてオンラインを基本とした別の理由の一つとして、本学で実施した前期授業アンケート結果があります。オンライン授業として適切に準備がされた場合には、本学の場合、約7割の学生が多くの授業をオンラインで実施することを希望していることがわかりました。残りの3割の学生に関してもさらなる対策をとれば、一部の授業に関しては対面よりオンラインの方が、教育効果が望めそうだと分析しています。加えて、テレワークが普及したコロナ後の社会では、オンラインでの作業スキルが必要になると考えていることも、オンラインを基本とした背景にあります。ビフォーコロナ時代とあまりにも異なる生活に対する不安や現状から、マスコミ報道等において大学に対する学費減額を求める声などが取り上げられ、本学においても学費が従来どおりであることに対する説明を求める声が皆様の一部から挙がっています。そこで、公立諏訪東京理科大学の学費の考え方をお伝えします。

 

まず、大学における学費の性格に関する考え方をご説明します。

本学では学費として授業料を年度ごとに納めていただいています。この学費は各年度の授業受講料や施設利用料ではなく、学部なら4年間、大学院なら2~5年の間にそれぞれの段階にあった教育や研究活動に必要となる総額を年数で分割し納めていただいているものです。

次に学費には、授業実施に必要となる直接的な費用の他、教室や図書館、研究スペースなどの設備を維持する費用も含まれています。例えば図書館を例として考えます。現在でも感染症対策から入館に関して一定の制限を設けています。しかしながら、今年度前期期間中でも新刊の学術研究書や日々発行されている新聞各紙の購入を続けており、電子ブック、電子ジャーナル、文献データベースなどの電子資料は自宅パソコンからアクセスして利用できるように整備し、これらの環境整備のために、莫大な費用を刊行元の国際企業に支払っています。電子書籍等を活用し自宅で学習や研究ができるこれらの環境を整備できているのは、学費をお納めいただいているおかげです。図書館以外の施設(体育施設・研究室・実験室等)も、同様に学費により維持しています。現在、新たな研究スペースとして9号館の建設を進めていますが、これも全学生に還元できる教育環境を整えるために行っており、何年度の入学生に、どの建物の費用をご負担いただくというものでなく、どの年度に入学された方にでも、同じように学費をいただいています。

公立諏訪東京理科大学では、今般の新型コロナウイルス感染症拡大により、当初想定すらしていなかったオンライン授業を中心とした授業展開をせざるを得ない状況となっています。そのため、新たなシステムの導入や配信環境の整備などに多大な費用が必要となっています。しかし、これらは学生への教育を確実に提供しなければならない大学として確実に必要な環境整備であり、これらの対応がしっかりとできたからこそ、前期期間のオンライン授業が円滑に行い得ることになったと考えています。しかしながら、そうした費用を今年度の学費に上乗せしないのが、大学の学費のあり方です。先にも述べたとおり、大学の学費とは、皆さんが入学してから卒業・修了するため教育や研究活動にかかる費用を数年間の学費として平準化して納めていただいているという性質を持つものです。この点をどうぞご理解ください。

このような考えから、公立諏訪東京理科大学は、学費としていただいている授業料の減免は行いません。感染症に対する社会の混乱が収まり、“ウィズコロナ”期となった際に、これまでと同じ、もしくは今まで以上の教育研究が継続できるよう、諸施設の機能を維持すべくご負担していだだいていることをご理解いただければ幸いです。

なお、すでにお知らせしていますとおり、公立諏訪東京理科大学は、遠隔授業実施に伴う学生の皆さんのネットワーク環境整備支援等を目的として、全学生に一律2万円を支給することを決めています。また、世界的な経済活動の停滞によって、経済的困難に見舞われ、学業継続の困難に直面している方もいると思います。本学には、家計が急変した方が申請できる本学独自の授業料減免制度を設けて学業継続を支援しています。お困りの方はどうぞご連絡ください。

公立諏訪東京理科大学で学ぶ学生が、一日も早く、大学という場で教員から直接学び、学友と交流し、課外活動に励むことができるように、今後も大学づくりを進めていきます。そして、在学生の皆さんが、自らの成長を実感できるよう、教育・研究活動の質の向上に努めていきます。その成果が、コロナ禍収束後のニューノーマルを創造できる人材として社会で活躍できる力を育むことになると信じています。

 

公立大学法人公立諏訪東京理科大学 理事長 唐澤 範行

公立諏訪東京理科大学 学 長 小越 澄雄