松野 仁樹講師 Masaki Matsuno

教員紹介

研究キーワード

環論、非可換代数幾何学

研究内容

足し算、引き算、掛け算ができる代数系を環と呼び、 環について研究する数学の分野を環論といいます。私の専門分野は環論の中の非可換代数幾何学という分野であり、 代数幾何学のアイデアや手法を用いて非可換次数付き環を研究・分類しています。 代数幾何学は、多項式たちの零点集合が定める図形について調べる分野であり、可換環(積の交換法則が成り立つ環)の理論と相性が良いです。 一方、代数側には掛け算の交換法則が成り立たない非可換環も沢山あり、これらを調べる際にも代数幾何学の手法を応用することができないかと考えることは自然な発想です。 Artin-Tate-Van den Bergh(1990)によってなされた3次元Artin-Schelter正則代数の代数幾何学的データによる特徴付けは、非可換代数幾何学における大きなブレイクスルーの一つです。 彼らの研究成果を基礎とし、代数幾何学的データによって定義される非可換次数付き環について、幾何学的性質を用いた環論的性質の特徴付けやその分類問題に関する研究を行っています。

研究から広がる未来

非可換代数幾何学は様々な研究分野が交じり合い、互いに影響しあうことで発展を続けています。 楕円曲線とその自己同型写像からなるデータによって定義される非可換次数付き環はSklyanin代数と呼ばれ、非可換代数幾何学における重要な研究対象の一つです。 その名前の通りSklyaninによって1982年に定義され、その性質について研究されました。Sklyanin代数は物理学の分野である統計力学や結び目理論で重要なYang-Baxter方程式と深く関係します。また近年では、アーベル圏やその導来圏といった良い圏を通じて、有限次元代数や次数付き(極大)Cohen-Macaulay加群の表現論と密接に関係しています。さらに近年の計算機やアルゴリズムの発展に伴い、グレブナー基底と呼ばれる可換環論や代数幾何学における重要な研究手法が様々な分野において活発に研究されています。 非可換代数幾何学においても非可換グレブナー基底の理論が用いられるなど、計算機科学の分野とも密接に関係しています。数学の他分野や物理学に加え、工学の分野とも関係性を深めることでブレイクスルーが起こり、新たな研究領域の開拓が期待されます。

メッセージ

急速に変化する情報化社会では、社会の変化に対応できる十分な基礎学力を身につけることが重要です。微分積分学や線形代数学を土台とし、微分方程式やフーリエ解析などの「応用数学」の学びを通して、エンジニアを目指す皆さんが数学と専門科目との繋がりをより深く理解することができるようサポートします。

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