伊藤 潔洋講師 Kiyohiro Ito

教員紹介

研究キーワード

材料特性・衝撃損傷評価,超高速・超高温,セラミックスコーティング,コールドスプレー法

研究内容

 材料を非常に速い速度で変形させた場合,ゆっくり変形させた場合に比べ変形に要する応力(流動応力)が高くなります.また,温度が高い場合,流動応力は低くなります.このように,材料の変形特性は変形速度(ひずみ速度)や温度によって変化します.しかしながら,104s-1以上の超高ひずみ速度下における変形特性については,評価手法が未確立のため十分明らかになっていません.
 そこで,超高ひずみ速度下における変形特性評価手法や耐衝撃特性評価手法を開発するとともに,変形メカニズムの解明や応用技術開発を進めています.球体衝突試験に基づく独自の変形特性評価手法では,試験片に球体を高速衝突させた際に形成される圧痕から高ひずみ速度下の変形特性を簡便に評価できます.
 衝突速度および球体直径を変化させることでひずみ速度の制御が可能であり,最大106s-1の超高ひずみ速度下での高精度な変形特性評価の実現を目指しています.また,同様の原理に基づいた1000°C以上の超高温下におけるセラミックス複合材料などの変形特性や耐衝撃特性評価手法の開発も進めています.

研究から広がる未来

 日本では,東日本大震災以降,電力の大半が火力発電によって賄われています.SDGsの1つである「エネルギーをみんなに,そしてクリーンに」の実現を目指す上でも,既存の発電システムや輸送機器のさらなる高効率化が必要となっています.一例として,発電用ガスタービンや航空機用ジェットエンジンに注目します.ガスタービンやジェットエンジンの高効率化のためには燃焼温度の向上が必須であり,タービンブレードは超高温環境下に曝されることになります.また,特にジェットエンジンでは,吸い込まれた異物の高速衝突による変形や損傷も問題となります.この例のように,材料は今後益々過酷な環境で使用されることが増えていきます.このような過酷な環境に曝される材料の変形特性や損傷挙動を適切に評価し,設計に反映することが,安全安心かつ高効率なシステムの確立につながります.持続可能な社会実現の一助となるよう,研究を推進していきます.

メッセージ

 金属,セラミックス,コーティング,CMC,CFRP,ハイエントロピー合金,コールドスプレー法など,従来材から先端材料,バルクから薄膜コーティングまで,幅広い材料の変形特性・損傷挙動評価と応用技術開発を東北大学や東京理科大学と共同で進めています.研究内容に興味をお持ちになりましたら,何時でもご連絡ください.

リンク

工学部機械電気工学科

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