来須 孝光教授 Takamitsu Kurusu

教員紹介

研究キーワード

活性酸素(ROS),オートファジー,農薬/肥料開発,AIによる農薬探索

研究内容

現代は,地球規模の異常気象により,作物の安定的な生産が困難になりつつあります。その要因は様々ですが,原因の1つは,環境ストレスにおける有害物質の過剰蓄積による作物へのダメージです。
活性酸素(ROS)は,強光や高温などの強いストレスを受けることで簡単に発生し,作物に悪影響を与えます。一方のオートファジーは,細胞内の有害物質を分解したり,栄養のリサイクルを行ったりする代謝システムです。私たちの研究室では,これらのターゲットを制御する薬をつくることで,農薬や肥料とは異なる,作物自身の免疫力やストレス耐性を高める環境にやさしい植物サプリの開発を進めています。最近は,研究室が保持する数万点の生物活性データとAIによる深層学習を組み合わせることで,コンピューター上で迅速に農薬候補を選定する学習システムの開発を進めています。

研究から広がる未来

私たちの研究室では,「工学,情報科学と農化学の融合」を基軸に,化学と工学,そしてAIやデータサイエンスを利用し,細胞内有害物質の低減化によるストレス耐性強化技術の開発を進め,持続可能な農業社会に貢献できる研究成果を発信することを目標としています。 既存の農薬開発には多くの探索ステップが必要であり,多額の時間と費用,環境への影響が問題となっています。そこで私たちは,農薬の構造特徴や生物活性データに着目し,これを数値化し,AIを用いて学習させることで,迅速かつ環境負荷の少ない新しい農薬探索システムの開発を進めています。このシステムにより,データベース上で農薬適正を短期間に探索出来,コストの大幅カットが期待できます。更に,選抜された薬剤を合成し,①遺伝子解析,②活性評価,そして③生物評価等の多様な手法を用いて検証し,低環境負荷型の農薬の開発を進めています。

WEBオープンキャンパス動画

当研究室のWEBオープンキャンパスの動画が見られます。

研究室の様子

研究室には現在,卒研生10名が所属しており,国内外の多くの研究機関,そして企業と積極的に共同研究や交流を行っています。学生には,1つの独立した研究テーマを受け持ってもらい,実験のデザインから評価,そしてデータ解析を通して,研究のいろはを覚えてもらいます。研究では成果も大切ですが,学生自身で課題を設定し,答えのない問題を解決する方法を学ぶと共に,さまざまな分野の人と付き合う中で視野を広げ,サイエンスコミュニケーション力や協調性などのエンジニアに必要なスキルを身につけて欲しいと思っています。

メッセージ

私たちの研究は,2018年から発足した新しい研究室です。「工学,情報科学と農化学の融合」を基軸に,基礎から応用まで幅広いテーマで研究を推進し,育種への活用や,作物を病気や環境ストレスに強くする農薬,土壌センサーの開発など,新世代のバイオテクノロジーの展開をめざしています。本学は,革新技術の創出に欠かせない異分野連携がやりやすい学際的な研究環境が整っており,皆さんと一緒に研究が出来ることを楽しみにしています。

リンク

工学部機械電気工学科

researchmap

SDGsの取り組み