松田 勇祐助教 Yusuke Matsuda

教員紹介

研究キーワード

感覚統合,VR,感性工学,視覚,触覚

研究内容

近年,バーチャルリアリティ(VR)技術への需要が高まっています. VR技術を用いる一つの利点として「現実世界では不可能な体験を比較的簡単に行うことができる」点が挙げられます.
「非現実的な体験」の一つとして「頭部回転と視野回転の対応関係の変更(現実世界では1倍)」というものがあります.例えば,対応関係2倍の環境下で,左に90°頭部を回転させた場合,見える場所は180°変化,つまり真後ろになります.この機構を用いれば,首の筋力低下などで,後ろを振り向くのが辛いユーザーでも,比較的簡単に後方の視覚情報を得ることができるでしょう.
もう一つの「非現実的な体験」として,「1-3人称切り替え視点」というものがあります.我々は普段1人称視点で生活していますが,ゲームなどでよく使用される3人称視点は「自分の周囲の状況が把握しやすい」などのメリットがあります.そこで,1人称と3人称を任意で切り替えられるVR環境を開発しました.この機構を用いれば,荷物整理などの作業を効率的に行うことができるでしょう.
しかしながら,体験が非現実的であればあるほど「高い臨場感」は損なわれやすくなります.そこで私は,これらの体験を「高い臨場感」で行う方法を研究しております.高い臨場感でのVR体験は現実世界において,より価値のあるものになるでしょう.

研究から広がる未来

現時点では,VR内での体験が人に対してどのような影響を与えるかを調べた研究はまだ少ないです.このことは,VR製品が一般家庭にあまり普及しない要因の一つになっていると考えられます.一方で,メタバースの開発が各企業で進められるなど,VR技術及びそれらを用いた様々なアプリケーションへの注目度はますます高まっています.人とVRの関係をより明確にすることは,VR業界において急務であると言えるでしょう.私は,特にVR内での「非現実的な体験」が,人に対してどのような影響を与えるかを解明することは非常に重要であると考えています. この研究の先には,VRアプリケーションを用いて,誰もが簡単に「非日常的な現象の体験」をする未来が待っているでしょう.例えば,「自分が静止しているのに歩いている体験」や「恐竜になって歩き回る体験」が,高い臨場感で可能になるでしょう.大袈裟に言ってしまえば,人生観を変えてしまうような体験を提供することも可能かもしれません.

メッセージ

VR開発やVRコンテンツが人へ与える影響などにご興味のある方は遠慮なくご連絡ください.

リンク

工学部情報応用工学科

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