山田 哲靖教授 Tetsuyasu Yamada

教員紹介

研究キーワード

・知能化ネットワーク ・ベイズ最適化による物理モデル推定 ・ノンパラメトリック回帰による植物成育度の推定 ・リカレントニューラルネットワークによる時系列データ予測

研究内容

多くのモノがネットワークを通じて自律的に情報をやりとりするIoTシステム。これらによって得られるデータの数は人間ではさばけないほど膨大です。そんな膨大なデータを用いて、自律的に適切な判断を行うシステムを知能化ネットワークと呼び、その実現をめざし、便利で豊かな暮らしに役立てようと日々研究しています。
研究分野は多岐に渡りますが、空調システムを例として紹介します。空調システムは出力を変化させてもその結果が遅れて現れるという時間遅れ特性を持っているため、物理特性を正しく把握しないで制御すると、暑すぎる・寒すぎるという問題が発生します。しかし、通常運転中に物理特性を推定するのは困難でした。そこで、本研究では、通常運転中の観測値から、ベイズ推定により物理特性を推定する技術を開発しました。推定した物理特性を用いたシミュレーションを実施することで、エアコンの最適な制御パラメータを設定することができます。

研究から広がる未来

空調システムを、運転しながら自動で最適化できるようになると以下のようなメリットがあります。 (1) エアコン設置コスト削減: 現状、ビル等のエアコン設置時には制御パラメータ調整のため、何日にも渡っての測定・調整が必要で、時間とコストがかかります。本技術を用いると、設置時には適当な初期値で設定しておくと、運転中に自動的に最適化されます。 (2) 快適さの向上: 従来方法では、設置後に当然起こるであろう環境変化(季節変化、人の増減、コンピュータが増えた、など)の影響で、制御が最適ではなくなり、快適さが失われます。本方式では、環境変化に自動追従して制御が最適化され、快適な運転に近づきます。 (3) 省エネ: 従来方式では、室温の振動などが発生する場合があり、エアコンの無駄な運転・停止が繰り返され、余計な電力消費発生します。本方式で最適化するとそれを最小限に抑えることができ、省エネにつながります。

WEBオープンキャンパス動画

当研究室のWEBオープンキャンパスの動画が見られます。

研究室の様子

3年生から大学院生まで20名ほどが所属しています。研究室のコンピュータ設備や実験設備のほとんどは、安全に遠隔操作できるようになっているため、全員が研究室に籠もっているわけではありませんが、少なくとも学年ごとには毎週全員集まって報告会などを実施しています。
研究室ではAIコンピュータの運用管理も行っており、大学所有のコンピュータと研究室所有のコンピュータを合わせてGPU63機分のコンピューティング能力を提供しています。
研究室は、学生の部活動であるAIサークルの部室も兼ねているため、AIサークルのメンバーも時々来て作業を行っており、相談を受けたり機材を貸し出したりしています。AIサークルは部員が数十名で、プログラム作成、ハッカソンへの参加、コンテストへの応募など、自主的に活発な活動を行っています。その活動が、NHKのニュースで生中継されたり、参加したコンテストで賞をとったりと活躍しています。

メッセージ

日本ではAI・IoT・ビッグデータといった先端領域におけるITエンジニア不足は深刻な問題であり、これを何とか解決しないと日本の将来が危ぶまれます。将来を担う若い方々には、単にプログラムを書けるということを目的とするのでははなく、高度な情報処理をこなすシステムを構築できるようになることを目指してほしいと思っています。そして、そのための教育カリキュラムを用意して行くのが我々の使命であると考えています。

リンク

工学部情報応用工学科

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