大島 健太准教授 Kenta Oshima
教員紹介

研究キーワード
宇宙軌道力学、宇宙探査機、小天体、三体問題、四体問題、ラグランジュ点、最適化、非線形力学
研究内容
私は宇宙空間の軌道力学について研究しています。宇宙探査機の燃料や時間を節約できる経路を見つけたい、小天体の一見不思議な現象のメカニズムを解明したい、宇宙空間の新しい利用方法を提案したい、といった目的に基づき、数学、工学、情報学の手法を用いて研究を進めています。 特に、複数の天体の重力の影響を考慮した軌道力学モデルである制限三体問題、四体問題に興味を持っており、数理モデルの力学構造に関する基礎研究から探査機の軌道計画に関する応用研究まで幅広い研究活動を展開しています。最近は海外の研究プロジェクトにも参画し、月以遠の深宇宙領域を航行するための軌道計算に貢献しています。また、安易に先行研究に頼ることなく自身のアイディアに基づいた手法を構築し、独創的な研究成果を創出することを目指しています。
研究から広がる未来
月近傍の軌道上に有人拠点(月軌道プラットフォームゲートウェイ)を構築する国際協力計画の実施に伴い、月周辺領域の探査機会が近年増加しています。月周辺では、月とともに地球および太陽の重力の影響も複雑に作用するため、複数の天体の重力の影響を同時に考慮して軌道設計を行う必要があります。 本研究ではまさに、そのような重力多体問題における軌道力学を扱っています。数理モデルを用いて重力多体問題の性質を理解していくことで、複雑な重力の影響を抑え込むのではなくむしろ積極的に利用でき、最適制御など工学分野の手法と掛け合わせることで、探査機の燃料をさらに節約できるようになるでしょう。グラフ理論やニューラルネットワークなど情報学の手法を活用すれば、より効率的な軌道設計が可能になると考えられます。このように様々な分野の手法を柔軟に取り入れることで、月周辺領域をはじめとする宇宙空間を自在に航行できる軌道制御技術の構築につながると期待されます。
研究室の様子
当研究室は、2025年度から発足した新しい研究室です。数学、工学、情報学の手法を駆使して、宇宙探査機および小天体の軌道運動を主に研究しています。スローガンとして「New Structure、 New Method、 New Solution」を掲げており、軌道力学モデルにおける新しい力学構造を発見し、新しい軌道設計・解析手法を構築し、軌道計画問題における新しい解を求めることで、宇宙工学および天体力学分野に貢献することを目指しています。
当研究室では、研究活動の醍醐味である「手さぐり感」を楽しむ姿勢を大切にし、自由な雰囲気の下でそれぞれの興味に基づいた研究テーマを探求しています。現在は卒業研究生10名およびゼミ研究生2名が所属しており、さらに海外からの修士論文研究生を1名受け入れる予定です。研究テーマごとに実施している週1回のミーティングでは、研究の進捗報告とそれに対するフィードバックを行い、研究の進め方を議論しています。
メッセージ
大学では自分の興味を追求することができます。学生のみなさんは様々なことを学び、経験することで、将来の糧にしてください。壁に当たって試行錯誤の結果、壁を破ったという貴重な経験の獲得を、研究活動を通じてサポートしていきたいと思っています。