石井 一夫教授 Kazuo Ishii

教員紹介

研究キーワード

次世代ビッグデータ、医療ビッグデータ、気象・環境ビッグデータ、金融ビッグデータ、レセプト情報、健診データ、ドローン、量子コンピューティング

研究内容

高次元因果推論・ビッグデータ構造解析研究室

研究の概要:
本研究室は、医療・環境・経済などの分野で得られる大規模・高次元データを対象に、因果推論に基づくデータ解析手法の研究と応用に取り組んでいます。
 近年、ビッグデータ解析は予測精度の向上を中心に発展してきましたが、社会実装や政策判断においては、予測に加えて「要因と結果の関係」や「介入による影響」を適切に評価することが求められています。本研究室では、統計学・機械学習・数理モデルを基盤とし、複雑系としての実データから相関解析にとどまらない因果的視点に基づく分析を重視しています。
 本研究室は、量子情報理論を状態空間や観測制約といった概念を学ぶための教育的枠組みとして位置づけ、複雑なデータ構造を理解するための数理的素養の形成に活用しています。一方、研究の中心は、現行の古典計算環境上で実行可能な因果推論手法の開発と検証にあります。

研究の特徴:
- 高次元・非線形・欠測を含む実データを前提とした因果推論
- 観測データから介入効果を推定する統計的手法の検討
- 医療・環境・経済分野における応用を通じた方法論の検証
- 計算統計・機械学習と因果推論の統合的活用
- 高性能計算環境を用いた大規模解析と再現可能性の確保

研究の目的:
- 実社会データに適用可能な因果推論手法の整備と高度化
- 医療・環境・経済分野におけるデータに基づく意思決定支援
- 高次元データ解析と因果推論を理解・実装できる人材の育成
 本研究室では、ビッグデータの Volume(規模)・Variety(多様性)・Velocity(時間変化)・Veracity(不確実性)・Value(活用価値) を因果推論の観点から整理し、分析手法の検討を行います。

主な研究テーマ:
医療ビッグデータと因果推論
数千万人規模のレセプト・健診・診療データを用い、精神疾患、歯科疾患、生活習慣病などの関係を因果的に分析します。
疾患進行や治療介入の効果を、単なる予測ではなく介入効果推定・反事実解析として評価し、予防医療・医療政策への応用を目指します。

環境・気象・農業データの因果構造解析:
センサー、ドローン、気象データなどを用い、環境要因が生態系や農業生産に与える影響を因果的に推定します。
非線形・非平衡な状態変化を捉え、持続可能な環境・農業施策の設計に貢献します。

経済・金融データと因果的リスク評価:
医療・環境・経済データを横断的に扱い、政策変更や市場介入がリスク構造に与える影響を分析します。
金融データ解析では、最適化や予測よりも制度変更・介入効果の因果評価を重視します。

研究環境とロードマップ:
高性能計算クラスタを中心に、クラウド計算環境を活用しながら研究を進めます。
量子シミュレーターや量子計算環境を、教育・概念検証・数理理解のための補助的ツールとして位置づけています。

- Phase 1(現在):因果推論手法の実データ適用と社会的成果の創出
- Phase 2(3〜5年):高次元・複雑系因果モデルの高度化
- Phase 3(5〜10年):新しい計算パラダイムの教育的・理論的検討

学際性と国際連携
医療・環境・金融の横断研究を進め、大学や研究機関、企業との共同研究、国際プロジェクトにも参画。幅広い視点で社会課題の解決に取り組みます。

求める学生像:
- ビッグデータで社会課題を解決したい人
- 医療・環境・金融に関心がある人
- 統計・機械学習・プログラミングを学びたい人
- 新しい技術に挑戦したい人
- 国際的な研究環境で活躍したい人

前提知識は問いません。意欲と好奇心があれば、基礎から丁寧に指導します。

研究室の方向性:
予測と説明、相関と因果を区別しながら、実社会データの分析に資する方法論の確立を目指します。現実的な計算環境と実データに基づく研究を通じて、学術的知見と社会的要請の両立に取り組みます。

写真は、データ分析に用いた脳MRI画像(左)と熱帯フルーツ、マンゴスチン(右)です。

研究から広がる未来

研究室の特徴と将来性: 本研究室の研究成果は、地球温暖化や少子高齢化など、地球規模の社会課題の解決やSDGsへの貢献につながることが期待されます。さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、データの蓄積と利活用はますます加速しています。こうした環境下で、ビッグデータを扱い分析できるデータサイエンティストの需要は急速に高まっており、将来性の高い分野です。 データサイエンティスト育成のサポート: 資格取得・コンペ参加 統計検定(2級、準1級、1級)や情報処理技術者試験の取得を奨励 KaggleやSIGNATEなどのデータ分析コンペへの挑戦・入賞も推奨 学会・論文発表: 情報処理学会、人工知能学会、統計関連学会(日本計算機統計学会、計量生物学会)への毎年の発表 国際ジャーナルへの投稿も積極的に行い、学術的成果を発信 インターンシップ・就職支援 データサイエンス協会などと連携し、企業でのインターンシップや就職紹介を実施 医療・金融分野を中心に、実践的な経験を積む機会を提供 本研究室では、実践力と理論力を兼ね備えた次世代のデータサイエンティストの育成を目指しています。

WEBオープンキャンパス動画

当研究室のWEBオープンキャンパスの動画が見られます。

研究室の様子

研究環境とメンバー:
本研究室では、統計解析や機械学習を活用して、医療・環境・金融などのビッグデータを分析しています。
データ解析には主にLinux環境でのコマンド操作を用い、PythonやRなどのプログラミング言語を活用します。

研究室メンバー:
大学院生:3名
卒業研究生:10名
ゼミ参加学生:12名

活動内容:
週1回の論文抄読会・研究進捗報告会で知識共有と研究討議
大学院生・卒研生は年1回以上の学会発表を行い、先行文献調査やデータ解析に取り組む
学生の中には国際学会での発表を経験するメンバーもいます

本研究室では、実践的なデータ解析スキルを磨きつつ、学会発表や国際的な研究活動を通して、次世代のデータサイエンティストとしての力を養います。

メッセージ

DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、医療、製造業、農業、金融など、あらゆる分野でビッグデータの活用が加速しています。これに伴い、データを扱い、分析できるデータサイエンティストの需要も増大しており、国内でも今後数十万人規模の活躍機会が見込まれる非常に将来性の高い分野です。
本研究室では、ビッグデータの分析技術を学びながら、次世代のデータサイエンティストを育成することを目標としています。
高校生や教員の方の見学・問い合わせも随時歓迎していますので、興味のある方はぜひご連絡ください。

リンク

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工学部情報応用工学科

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